回折光学素子(DOE)の数学的根拠を示す。
少々長くなるが直感的にわかりやすいように、数学的厳密さより理解しやすさを優先して記述したい。
まず最初に、回折光学素子という用語について。
ここでは、「レーザーを通すと図形が現れてくるガラス板」のことを指しているが、
じつは一般的には他のものを表わしている。
例えば、
・レンズの表面に収差を改善する目的でレリーフを施したもの
・フレネルレンズ(バスの後ろに貼ってあるやつ)
・回折格子(おもに分光に利用)
ようは回折を利用していればぜんぶ回折光学素子だ。
ちなみにDOEは、Diffractive Optical Element の略である。
なので、表題の回折光学素子という名称は、範囲が広すぎて適切ではない。
それでは、ここで目的としている「レーザーを通すと図形が現れてくるガラス板」
のことをなんというかというと、これが世間でははっきり決まっていなくて、普通はDOEで通している。
また、「レーザーを通すと図形が現れてくるガラス板」といっても、
2値迂回位相ホログラムや、キノフォーム型、焦点の存在する(0次光の発生しない)フレネル変換のタイプ
など、計算手法によっていくつか種類がある。
ここでテーマとしている素子は「オンアクシス型バイナリフーリエDOE」が一番近い。
よってこのサイトの中では、求める回折光学素子(DOE)のことを
【フーリエDOE】
で統一したい。
参考文献
Bernard Kress ; Patrick Meyrueis 「著」 小舘 香椎子「監訳」 , 藤野 誠 , 駒井 友紀「訳」 . デジタル回折光学 . 丸善株式会社 , 2005
小舘 香椎子 , 神谷 武志 「監修」 . 回折光学素子の数値解析とその応用 . 丸善出版 , 2011
P.ハリハラン 「著」 . 吉川 宏 , 羽倉 宏之 「訳」 . ホログラフィーの原理 . オプトロニクス社 , 2004
久保田 敏弘「著」. ホログラフィ入門 . 朝倉書店 , 1995