実際につくってみる前に、確かめたいことがある。

 前ページで「あ」をシミュレーションしてみたが、ちょっと複雑すぎたみたいでごちゃごちゃしてしまっていた。

 シンプルなパターンで現象のクセを把握しておきたい。

 たとえば「丸」の場合、

 図17_丸.png

 3Dマリオか?

 

 もっとシンプルにいこう。「点」にするとこうなる。

 図17_点.png

 傾斜と断崖でできている。断崖の高さはー3.14から3.14で、つまりこれは位相を高さであらわしている。

 断崖の部分は、2πをこえたから0に戻っただけで、べつに続いていてもかまわない。

 現実に位相差をつくるには、レーザーの波長やガラスの屈折率によって変わるので、物理的な実寸法をあらわしているわけではない。

 とりあえず、「位相レリーフ」とでもよんでおこうか。

 

 もういちど「点」を計算してみる。

 図17_点2.png

 似ているが、さっきと違う答えが出てきた。

 これは初期値にしている位相がランダムに変化したためで、同じ図形であっても初期値を変えるだけで無数に答えが存在することになる。

 

 次に、同じ「点」の図形を、中央から少しズラして計算してみる。

 図17_点3.png

 急に込み入ったかんじになった。

 同じ図形であっても、初期デザインの位置が変わるだけで位相レリーフの密度が変化する。これはフーリエ変換のクセだろうか?

 

 位相レリーフを1枚のタイルとして、3×3の9枚つなげて並べてみる。

 図17_点2_9.png

 タイルの境い目は、違和感なくつながっている。

 実際につくるときは、同じパターンの位相レリーフを何枚かつなげて、全体としてレーザー光より大きくする。

 そうすることで、レーザー光がもれなくパターンにかかることになる。