「レーザー光の単純開口の投影像はフーリエで表せる」

 

 ある開口にレーザー光をあてると、光は遮られて開口の窓と同じ形の光が出てくる。

 この窓の大きさを波長に近いところまで小さくすると、光は波としての性質を表し回折してまわり込む。

   図1.png

 ピンホールだと図のようになる。エアリーディスクとして見たことがある人もいるはずだ。

   zu2 .png

 四角だとこう。

    図3.png

 この像はフーリエ変換で計算することができる。

 

 「なぜここでフーリエ変換??

 フーリエって波の重ね合わせでかたちを作ったり、逆に分解して波長成分を割りだしたりするんじゃなかったっけ?」

 

 それはそうなんだけど、計算結果を近似するとそうなってしまうんです。

 なんでそうなるかは神様に聞いてください。

 

 波の式

          図4.png

u:電場の振幅

T:周期

\(\lambda\):波長

$$u(x,t)=Asin2\pi\left\{\frac{x}{\lambda}-\frac{t}{T}\right\}$$

式を簡単にするため、波数:k 角振動数:ω を導入。

波数:\(k=\left\{\frac{2\pi}{\lambda}\right\}\)

角振動数:\(\omega=\left\{\frac{2\pi}{T}\right\}\)

$$u(x,t)=Asin(k x-\omega t)$$

 

ここで仮に2つの光を足し合わせてみる。

  図5.png

\(A_{add}\):振幅の合計

$$A_{add}={}u_1(x,t)+{}u_2(x,t)=A sin(k {}X_1-\omega t)+A sin(k {}X_2-\omega t)$$

 

 ここで、位相について言及しておきたい。

 位相とは、三角関数でいうところの sin{ θ } の  { }  の中、角度の部分のことで、ふつう0から360度、ラジアン表記だと 0~2π の値をとる。

 もし、その中身が2πより大きくなった場合、2πの倍数はすべて切り捨ててしまってかまわない。有効なのは余りの部分である。

 つまり上図の中でLが1メートルのときは、赤色レーザー 635nm とすると、1,574,803回振動したあと、距離でいうと0.999999905メートル進んだあとの、最後の残り1波長ぶんのうち、その光路が位相のどの値にあたるか、その光路差が位相にどう影響するかが問題になる。

 わたしは最初、このスケール感が分からなかった。

 

 さて、波の合成ができたとしても振幅が見えるわけではない。観測できるのは時間平均された波の強度である。

 「波の強度は、振幅の2乗に比例する」

 では、2乗してみよう。

 

\(I\):波の強度

$$\begin{align}I&=\left\{A sin(k {}X_1-\omega t)+A sin(k {}X_2-\omega t)\right\}^2\\&=A^2 sin^2(k {}X_1-\omega t)+A^2 sin^2(k {}X_2-\omega t)+2A^2 sin(k {}X_1-\omega t) sin(k {}X_2-\omega t)\end{align}$$

 ここで、

\(t=0\)

\({}X_1=\sqrt{L^2+(Y-D)^2}\)

\({}X_2=\sqrt{L^2+(Y+D)^2}\)

 なので

$$\begin{align}I&={}I_1+{}I_2+A^2\left\{2 sin(k {}X_1)sin(k {}X_2)\right\}\\&={}I_1+{}I_2+2A^2\left[sin\left\{k \sqrt{L^2+(Y-D)^2}\right\}sin\left\{k \sqrt{L^2+(Y+D)^2}\right\}\right]\end{align}$$

 

 ここで \(\sqrt{}\) をテーラー展開して近似をとる。

 テーラー展開とは、xが十分に小さいとき

\(\sqrt{1+x}=1+\frac{1}{2}x+\) …(こっから先は無視)

 であるので

\({}X_1=\sqrt{L^2+(Y-D)^2}=L\sqrt{1+\frac{(Y-D)^2}{L^2}}\approx L\left\{1+\frac{1}{2}\frac{(Y-D)^2}{L^2}\right\}=L\left\{1+\frac{1}{2}\frac{Y^2}{L^2}-\frac{YD}{L^2}+\frac{1}{2}\frac{D^2}{L^2}\right\}=L+\frac{1}{2}\frac{Y^2}{L}-\frac{YD}{L}+\frac{1}{2}\frac{D^2}{L}\)

 同じように

\({}X_2\approx L+\frac{1}{2}\frac{Y^2}{L}+\frac{YD}{L}+\frac{1}{2}\frac{D^2}{L}\)

 

 代入すると、

$$I={}I_1+{}I_2+2A^2\left[sin k\left\{L+\frac{1}{2}\frac{Y^2}{L}-\frac{YD}{L}+\frac{1}{2}\frac{D^2}{L}\right\}sin k\left\{L+\frac{1}{2}\frac{Y^2}{L}+\frac{YD}{L}+\frac{1}{2}\frac{D^2}{L}\right\}\right]$$

 ここで、三角関数の公式から

\(sin\alpha sin\beta=\frac{cos(\alpha-\beta)-cos(\alpha+\beta)}{2}\)

 

$$\begin{align}I&={}I_1+{}I_2+2A^2\left[\frac{cos k\left\{\left(L+\frac{1}{2}\frac{Y^2}{L}-\frac{YD}{L}+\frac{1}{2}\frac{D^2}{L}\right)-\left(L+\frac{1}{2}\frac{Y^2}{L}+\frac{YD}{L}+\frac{1}{2}\frac{D^2}{L}\right)\right\}-cos k\left\{\left(L+\frac{1}{2}\frac{Y^2}{L}-\frac{YD}{L}+\frac{1}{2}\frac{D^2}{L}\right)+\left(L+\frac{1}{2}\frac{Y^2}{L}+\frac{YD}{L}+\frac{1}{2}\frac{D^2}{L}\right)\right\}}{2}\right]\\&={}I_1+{}I_2+A^2\left\{cos k\underbrace{\left(-2\frac{YD}{L}\right)}_{}-cos k\left(2L+\frac{Y^2}{L}+\frac{D^2}{L}\right)\right\}\end{align}$$

 

 ヤングの条件式がでてきた。

 ここで2項目のcosの中身はヤングの式がアクティブなスケールの場合は、とんでもなく大きいかとんでもなく小さいか無視できるスケールになる。

 \({}Y^2\) や \({}D^2\) 、固定値の \(L\) も近似として0になるのであろう。