いよいよ本題である。

 ある開口の投影像がフーリエ変換で表されるのなら、逆フーリエ変換をすれば任意の投影像を写すような、なにがしかのパターンが解析できるのではないか?​

     図15_逆フーリエ変換.png

 これができれば冒頭の矢印や、他の図形も作成できることになる。

 

 やってみよう。

 

 ここで注意すべき点は、初期値である。

 開口をフーリエ変換したときのように、空いているところは1、遮っているところは0では誤りになる。

 「あ」や丸「●」をフーリエ変換したときの計算結果は、具体的に表すと、

$$0.1234+i0.5678$$

みたいな数字だ。

 複素数で表示された振幅である。これを二乗すると強度になって、エアリーディスクみたいな強度分布を表すことになる。

 したがって、逆フーリエ変換するのに初期値にするべき数字は、複素数表示された振幅だ。

 

 ここで、振幅と位相の関係についておさらいしたい。

 図15_位相.png

 フーリエ級数として足し合わせるとき光路差を計算するが、それはつまり位相の差を求めてその振幅を足し合わせることになる。

 光路差が波長λ以上の差がでたときは、位相2πごとに0としてやりなおすことになる。(表現がむずかしくてうまく説明できていないな)

 え~~もし位相がランダムで、振幅を足し合わせたとき打ち消し合うことが多いので、平均的になり強度は0に近づく。

 逆に、位相が近いものを足し合わせたときは振幅は大きくなり結果的に強度は強くなる。

 

 位相とは、複素振幅表現をするとこうなる。

     図16.png

 aとbは無限からマイナス無限までいろいろな値をとるが、位相(θ)の値は 0~2π のどれかに限られる。

 

 まとめよう。

    図16フーリエ変換.png

 開口を通った光は、波としての性格を現わし特有の強度分布として投影される。

 その分布はフーリエ変換によって計算できる。

 逆に、なにがしかの図形を投影させたいときは逆フーリエ変換によって、その開口を算出することができる。

    図16_逆フーリエ変換2.png 

 任意の図形をデザインするときはドットマトリックスの0と1である。それを強度1の複素数に変換する。

 位相をどうするか迷うが、ここはランダムに設定する。というか、そろえてはいけない。現実に無数の光路から足し合わされた位相がそろっているわけがないからだ。

 じゃあランダムでいいのか?と言われそうだが、それでいいのだ。位相がランダムに変化した分、答えも無数に存在することになる。

 

 ではあらためて、やってみよう。

 図16_逆フーリエ変換後あ.png

 なんだこりゃ?

 と、思うかもしれないがこれでいい。

 これは位相をあらわしたグラフになる。位相とはつまり光路差のことで、このような光路差を実現できるようなレリーフが作れれば、任意の図形が投影されることになる。

 

 ほんとうだろうか?

 「あ」はちょっと複雑すぎたかな?